我々が研究している秘匿化・復号システムは,OSI参照モデルの物理層データをデータリンク層から秘匿化し,それを復号するものです.基本的なアイディアは物理層のバイナリ・データと電気信号の変換において,電気信号をランダムなノイズで攪乱することでデータを秘匿化し,この秘匿化した信号に対してノイズ除去により復号を行います.従って,我々の秘匿化・復号システムの核になるものは確率フィルタリングの理論になります.この応用として,通常,OSI参照モデルの上の層で行われる画像データや文章データの暗号化とは違った,OSI参照モデルの下の層のデータの秘匿化や復号を狙っています.ここでは,文章に対する応用を例示しますが,画像に関しては論文を参照してください.今後,ファームウェア攻撃,サイド・チャンネル攻撃,さらにはIoTにおけるデバイスへの攻撃に対するセキュリティへと応用を行う予定でいます.特に,量子センサを持った計測装置が扱う究極の個人情報のセンシング・デバイス内でのデータの秘匿化や,量子コンピュータのアーキテクチャ・レベルでのデータの秘匿化に興味を持っています.
※デモでは,我々の論文[Fujii & Hirokawa, 2022a; Fujii & Hirokawa, 2022b; Hirokawa, 2022]に現れるパラメータNをN=1と設定しています.従って,2(=N+1)の秘匿化データが得られます.
ログインすると,文章をセキュア化するページとセキュア化したデータの復号ページへのリンクがあるTOP PAGEに入る.まず,文章をセキュア化するため,「セキュア化」をクリックしセキュア化のページに移動する.
セキュア化のページで「秘匿したいデータ」にセキュア化したい(ここでは『今日博多駅で午後7時に食事!』という)文章と,「鍵」に復号時に使う(ここでは廣川の現在の所属機関『九州大学』という)鍵を入力し,送信ボタンをクリックする.
サイトのほうで文章をバイナリ・データに変換し,さらにそれを信号に変換する(一番上のグラフ).秘匿化はこの信号をノイズで二通りに攪乱し秘匿化する(下二つのグラフ).この秘匿化した二つのデータを保存する(ノイズ攪乱したデータを二つ以上に分割することは可能).
一番上にあるグラフを拡大したもの(変換された信号).
上から二番目のグラフを拡大したもの(ノイズで攪乱した信号の一つ).
上から三番目のグラフを拡大したもの(ノイズで攪乱した信号の一つ).
信号の左上にある「CSVファイル」をクリックすると,ノイズ攪乱で秘匿化した二つのデータが保存される.秘匿化した二つのデータは,西暦・月・日・時間からなる数字をファイル名に持つ一つのCSVファイルに保存される(図でのファイル名は2020051512123041.csv).また,保存場所は各自が指定してあるディレクトリ(フォルダ)で,例えばOSがWindowsであれば,デフォルトは「ダウンロード」フォルダ.
秘匿化した文章を復号するには,まず,ブラウザのボタンを使いTOP PAGEに戻る.
保存したCSVファイルをアップロードし,秘匿化の際に作った鍵を入力し,送信ボタンをクリックし,復号を行う.
サイトが復号化に成功すると,復号された文章が左上に現れ,ノイズ除去された信号が一番上のグラフ,アップロードした秘匿化データのグラフが二番目と三番目のグラフとして表示される.
復号された文章とノイズ除去された信号のグラフを拡大したもの.このノイズ除去された信号は元の信号とは完全に一致しないが,この信号をバイナリ・データに変換すると,このバイナリ・データは完全に元のものと一致する仕組みになっている.
もし復号の段階で,間違った鍵を入力すると(ここで間違った鍵として廣川の前の所属機関「広島大学」を使う)と.....,
サイトは復号に失敗したと報告する.
保存したデータを改ざんし、それを復号してみる。保存したデータファイル 2020051512123041.csvの(A,1)を改ざんする.
さらに,(F,2)を改ざんする.
改ざんされたファイルをアップロードし復号すると,復号に失敗する.