---短期研究集会---

人工原子と光の相互作用を利用した量子デバイスのモデリング



 主催:岡山大学大学院・自然科学研究科・先端基礎科学専攻・数理科学講座
     文部科学省・研究振興局基礎研究振興課
 協力:Weierstrass Institute for Applied Analysis and Stochastics (WIAS) (Berlin, Germany)及び
     Centre de Physique Theorique (CPT) UMR 6207 (Luminy, Marseilles, France)

 文部科学省の「平成23年度数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究ワークショップ」の一課題として、人工原子と光の相互作用を扱う一分野 circuit QED (※C)を中心に、その理論的・実験的側面に数理科学者が係わるための専門的短期研究集会を下記のように開催致します。
※C. 中村氏によるcircuit QEDにおいて人工原子となるジョセフソン接合量子ビットの解説が日本物理学会誌57巻11月号797-803 (2002)にあります。
仙場氏らによる circuit QED の解説が日本物理学会誌64巻1月号37-41 (2009)にあります。

開催日時と開催場所

日時: 11月29日() 9:25〜18:40

場所: 国立情報学研究所(アクセスはこちら) 20階2005会議室 (※1を参照願います)

※1. 11月29日(火)の会議室の定員数は32名と定員に限りがありますので、参加ご希望の方は廣川宛てにメールにてご連絡頂けましたら幸いです。
11月2日現在、収容人数には未だ少々余裕があります。

国立情報学研究所は学術総合センター内にありまして、建物に入る際に1階の警備員の方に身分を証明するものを提示し入館理由を告げ
なければなりませんが、入口の警備の方に予め参加ご希望のご連絡を頂いた方々のお名前とご所属を告げておきますので、警備の方に
お名前とご所属をお告げ下さい。

もし予めご参加頂けるかが決まらず当日ご参加可能になられた場合や、ご身分を証明するものを当日お持ち合わせのない場合は、お名前と
当研究集会へのご参加と告げて頂き、ご氏名をご記入頂けましたらご入館頂けます。


世話人: 廣川 真男 (hirokawa@math.okayama-u.ac.jp:左のメールアドレスにある『@』は半角英数字に直して下さい)

講演予定者

 以下の表にあります方々のご講演を予定しております。 当日のプログラムのpdf版はこちらHTML版はこちら

氏名 (アルファベット順) 所属 講演タイトル
BILLANGEON, Pierre-Marie 氏
(with NAKAMURA, Yasunobu)
理化学研究所単量子操作研究グループ
       巨視的量子コヒーレンス研究チーム
 Parametrically induced interactions in cQED architectures for quantum information processing 
(アブストラクト) 
中村 泰信 氏     
(NAKAMURA, Yasunobu)
NECグリーンイノベーション研究所
&理化学研究所単量子操作研究グループ
       巨視的量子コヒーレンス研究チーム
 Circuit QED --- interaction between artificial atoms and microwave electromagnetic fields 
中ノ 勇人
(NAKANO, Hayato)
[角柳 孝輔 氏との共同発表]
(with KAKUYANAGI, Kousuke)
NTT物性科学基礎研究所量子電子物性研究部  検出器を用いる量子ビット測定を「ダイナミクス」として理解する 
(Understanding the dynamical aspect of a qubit measurement with a detector)
(アブストラクト) 
根本 香絵
(NEMOTO, Kae)
国立情報学研究所情報学プリンシプル研究系  A new regime of quantum optics 
仙場 浩一
(SEMBA, Kouichi)
NTT物性科学基礎研究所量子電子物性研究部  ダイヤモンド中の電子スピン集団と超伝導磁束量子ビット系で観測されたコヒーレントな量子結合 
(Coherent coupling of a superconducting flux qubit to an electron spin ensemble in diamond) 
(アブストラクト  ※Sem)
鹿野 豊
(SHIKANO, Yutaka)
東京工業大学大学院理工学研究科 基礎物理学専攻
& Chapman University
 Circuit QEDを用いた量子ウォークの実現性 
(Proposed implementation of quantum walk with circuit QED)
(アブストラクト  ※Shi) 
丹治 はるか 氏
(TANJI, Haruka)
NTT物性科学基礎研究所 量子光物性研究部  Vacuum-Induced Transparency 
(アブストラクト) 

※Sem 2011年10月13日発行のNature 478: p.221--p.224, (2011)に掲載されました、NTT、阪大、 NII の共同研究に関連する内容です。
報道機関発表:朝日新聞時事通信マイコミジャーナル
※Shi 当初のタイトルから変更が ありました。


短期研究集会の概要

 この研究集会は、我々が2008年より細々と行って来た研究交流で、全体が集まる会合を文部科学省の「平成23年度数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究ワークショップ」の一つとして公開するものです。人工原子、特に、ジョセフソン接合を利用した超伝導LC回路で実現する人工原子とマイクロ波との相互作用を扱う circuit QED に興味をもつ少人数で研究交流を行って来ましたので、スケールの大きいテーマは扱えませんが、今回はWIASとCPT-UMR6207との共同研究開始を機会に少々枠を広げ、量子ドットなどの人工原子をも意識しつつ、「人工原子と光の相互作用」というテーマに絞り研究集会を行おうと思います。

趣旨と世話人からのコメント

 我々の連携の簡単な経緯をこちらにおきましたが、幾つかの分野に跨る様々な機関に所属する研究者の集まりですので、ある一つのポリシーに則り数理科学の一人としてこの研究交流に携って来ました。理論・実験物理学者のみならず、circuit QEDなどの人工原子と光の相互作用に係る数学・数理科学者を含めた、専門的議論を自由に行う場を創る事を目標に、今回の短期研究集会を開催したいと思います。

 今回の課題名はWIASとCPTとの共同プロジェクトに世話人が客員としてCPT-UMR6207側に参加しているものを先方の許可を得て拝借したものです。WIASとCPT-UMR6207側は主に量子ドットを人工原子とし、それとレーザーの相互作用に関する量子デバイスのモデリングを数学・数理科学の研究者が担当しています。特に、WIASは、DFGのサポートによりSFB 787 Halbleiter-Nanophotonikなるものを形成し、数学、数値計算、理論物理、実験物理との連携が行われていまして、このモデリングに関する問題がWIASとCPT-UMR6207の共同プロジェクトになっています。WIASとCPT-UMR6207に滞在し彼らと行った共同研究活動の紹介をいずれ簡単に報告して行こうと思います。


平成23年11月14日更新